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「思い出を作ろう。大人になる前に。三日月が真上に来るころ、ここで待ってるから」
「それじゃ……ね。必ず、また会おう。最後に……いままで使う事のなかった言葉を、僕から一一君へ」
「君は来ない。来るハズない。そう、分かってたけど。僕はずっと……立ち尽くしたまま、動けなかった」
「軽い気持ちでいた。どうせすぐ引き返せると、たかをくくっていた。一一だが、それは大きな間違いだった……」
「僕の事を人に話すと……みんな、逃げていくのに。君は、僕が怖くないの? 逃げないの? そばに……いてくれるの?」
「僕らはたくさんの何かを引き換えにして、前に進む。これだけ苦労して、やっと得た一つの物は、ほら、こんなにも大きい」
「これから先、もしも君の前に困難が立ちふさがったら。その時は空を見上げて、大声で笑い飛ばしてしまえ! 大丈夫、なんとかなるさ!」
「僕は『大人』なんかじゃない。『君が好きだよ』一一この一言さえ、素直に言えない。大人ぶって、ただ……笑っていることしかできないんだ」
「こんばんは、ちょっと道をお尋ねしたいのですが。この辺りで、泣いている方がおられると思うんですが、ご存じありませんか? 私はその方を笑顔にするために駆け付けた者です。おや……そういえばあなた、ずいぶんと赤い目をしていらっしゃいますね……?」
「小さいころの夢って何だった? ケーキ屋さんとか、先生とか。私は……これを言うと大抵、笑われるんだけどね。『虹に触りたかった』んだ。じょうろでさ、たくさんの水たまりを作ったよ。そのたびに小さい虹ができるんだけど……何度やっても、触れる前に消えてしまうんだ……」
「君はいつでも明るく、声をかけてくれるね。『おはよう。元気?』って。僕は小さく微笑んで、頷く。僕の事なんか何も知らない……部屋の外に出れば、すぐ他に熱中して、僕の事なんか忘れてしまうクセに……。それでも、君の声は温かくて……とても、温かくて。『仲間同士で隠し事はナシだ』なんて約束したけど。これだけは卒業後も言わないつもりだ。君が部屋を出たあと。僕は隠れるように一一泣いていた」
「……お前、泣いてんじゃねぇよ。顔なんか見えなくたって分かってんだよ。完全に涙声じゃねぇか。笑え笑え。お前はノーテンキな笑顔『だけ』が取り柄だろ」
「コイツに乗せるにゃ、紙切れが必要だ。おめぇ、自分が『人間』だって証明できるか? おめぇがこの世界に存在するって証拠を見せてくれねぇと、コイツに乗っけるワケにゃいかねぇのよ」
「仕事を探してんならコレはどうだい? とても簡単で、とても難しい。やる事は、瞳を開けて、呼吸をして、物を考える事。『人間』という仕事だ。給料はでねぇから他と掛け持ちしてくれ。せいぜいクビにされねぇよう頑張んな」
「同時に二つの物を得ることはできない。片方を得れば、もう片方は失う。私は幸運だった。どちらがより大切か、選ぶのがとても簡単だったからだ。もう、君の手を繋ぐ事はできない……ここに戻ってくるのも不可能だろう。だが、振り返らないで欲しい。一一どうか、元気で」
「互いに違う方向を目指して、どれぐらいたっただろう。私は相変わらずだ。むかし一緒に造った地図、捨てられなくってさ。今でもこうして持ってるよ。夜と朝をいくら繰り替えしても、君が思い出から戻る事はないけど一一そんな世界を少しずつ愛しながら、なんとか歩いているよ……温もりをありがとう」
「ここから遥かに遠い外国へ行くより、君に一歩近づく方が、ずっと距離があるよね」
「いま自分が叶えたいと思う望み、やりたい事に向かって、死ぬ気になって全力で突き進む。それが生きる意味だ」
「言霊ってあるだろ? 言葉は口に出すだけで力を持つ。『もうダメだ』と思ったら、『まだ頑張れる』って言ってごらん。そうすれば、それが現実になる」
「普段どれだけ素晴らしい結果を出せても、実力が出し切れない時だってある。それでも期待を向けられて、『まかせろ』なんて言って。一一本当は怯えてるんだ。でもそういう追い詰められた時こそ、私は不敵に笑う。必ず逆転ホームランを打ってみせる、と」
「自分を最後に救うのは自分自身だ」
「音楽は人の精神を安定させる魔法みたいなものだ」
「冗談だよ……本当に死のうとするわけないじゃないか」
「僕はまだ、あのとき止まったままの時間を動かせないでいる」
「限界なんてない。終わりなんてこない。最果てなど存在しない」
「夢を叶えようとするのに、『遅すぎる』なんて事はないんだよ」
「一一まだいたのかい。僕の事は放っておいてくれって言っただだろう?」
「いや、寒いって言うからさ。こうしてポケットの中で手を繋げば暖かいだろ?」
「君に伸ばされた手を握った事で、初めて知った……涙にも、温度があったのだと言う事を」
「自分を臆病だと思うのなら、私が、君が行動を起こす為に必要な分の『勇気』になるから」
「本当に助けて欲しいと思った時は、手を差し出してくれ。必ず見つけて、その手を掴んでみせる」
「とんでもない変わり者だな、お前は。嫌われ者の俺に、わざわざ声をかけてくるなんて。それとも一一何かを企んでいるのか?」
「何かに固着し過ぎて、すぐそばにあった大切なものに気付かなかった。でも、もう遅い。それはすでに一一枯れてしまったのだから」
「誰かに認められたいから、褒められたいから作品を作るんじゃない。ただ、好きだから。自分なりに表現したいと思ったから。だから、私は筆を動かす」
「大人になって、子供の頃大切だったものを随分となくしてしまった。一一それでも構わない。本当に大切なものは、この手の中に、まだしっかりと残っているから」
「私はいつも孤独を選んでいた。馴れ合う事を恥だといい続け、人に頼らない事に誇りを感じていた。一一怖かったんだ。手を取る事で、いつかそれが離れていくのが怖かったんだ」
「一一いや、いい……言わなくていい。あのお人好しの事だ……私を哀れんで、無様な泣き顔を見せる事だろう……ヤツには……ふざけたバカ面の……鬱陶しい笑顔の方がお似合いだ……」
「本当にいいヤツなんていないよ。逆に言えば、心底イヤなヤツだっていない。みんなどこかしら、いい所、ヤな所、強い所、弱い所があるものさ。それを全部含めて、初めて『人』になるんだ」
「ホラ、まーた眉間にシワ寄ってるよ? こんな所に籠りっきりだからそうなるんだよ。どこか行こう。どこでもいい。遠くでも近所でも、君の不安を解消できるような所へ。……人はそんなに強い生き物じゃないんだ。本気で辛い時、誰かに頼るのは恥じゃない」
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