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「これは手厳しいな。正論だけどね」
「俺は正気を保つ為、叫んだ。お前の、名を」
「自分の感情を殺すことで、私は死を否定する」
「焦るな、ヤツの罠だ。ポーカーフェイスで行け」
「お前って視力は悪いのに、動態視力はいいんだな」
「アンタは間違ってる。完璧であるから不完全なんだ」
「アイツがお前を裏切るワケねぇだろ。彼女はハメられたんだ」
「最後に一つだけ聞いてやる。死ぬ前に、何かやりたい事はあるか?」
「お前、何人殺した? 俺か? 教えてやるよ。十二人めだ一一お前で、な」
「忘れたかい? このゲームでは、人は信じちゃいけないんだよ。一一たとえ、それが死体でも」
「皆の導火線が短い極限状態で、言葉が足りないのは危険だ。妙な誤解を招きやすくなる。それと、武器も見せるな」
「ごめん……約束の、場所……行けそうも、ない・・・またお前に怒られるな……『ドタキャンするな』って・・・一一」
「こんな状況になって初めて、私のそばで身を震わせる君を愛おしいと意識し始めた。今からではもう一一何もかもが遅いと言うのに」
「気に入らないのは分かるが、ヤツを敵に回すのはよくない。人から信頼されている上、まだ利用価値があるからね。今はまだ猫をかぶっておけ」
「マガジンの切れた拳銃を捨てるなら、ちゃんと壊しておくべきだったね。私みたいに、銃はなくても、弾だけ大量に持っているやつだっているのだから」
「有を無にする程度しか脳のないお前に、俺を殺すことなんざできやしないのさ。無から有を作り出す方が、その何倍もアタマも体力も経験も必要ってモンだ」
「早くロープを解いて逃げないと、あと十五分でここは禁止エリアになるぞ? では、私はお先に失礼。生きていたらまたどこかで遭おう一一無理だろうがな」
「こうして二人きりでいられるのも、あとわずかだ……。二十三時五十分になったら、俺は自分の頭に引き金を引く。そしてお前は優勝、家に戻れるってシナリオだ」
「使い古された言葉で恐縮ですが、私には文才がございませんでね。ロマンもムードもすっとばして直球に申し上げます。ずっと好きでした、付き合って頂けませんか?」
「いいよ……私が信じられないと言うなら、そのナイフで殺してくれ。君に殺されるなら、構わないから。一一本当は、最後まで守ってあげたかったんだけどね……残念だな……」
「気付いていないようだから教えてやろう。その先は禁止エリアだ。首輪が反応し、爆発……首から上が吹っ飛び、鮮血が溢れだす。一一俺に抱かれるのは、死ぬほど、イヤか?」
「お前なぁ、今がどういう状況かわかってるのか? クラスのやつらが殺しあいをしてるんだぞ? たった一日で二十人以上が死んでるんだぞ? 放送聞いただろ? それなのに何のんきにまゆ毛なんて抜いてんだよ!」
「はーい、もしもーし? こちら坂持金発ー。本日、午前中の天気は悲鳴、所により血の雨が振るでしょうー。電話、使えないって言ったろー? あ、電源切っといた方がいいぞー。今お前の後ろに人がいるからなー。そんじゃなー」
「考えたんだ。この支給された毒薬をどうやれば効率良く使えるか。そして思い付いた。この島にたった一カ所しかない井土の中に入れれば、水を求めて来たヤツを皆殺しにできる、ってね。一一そう、君がいま飲んでる、その水だよ」
「武器がない? あるじゃないか、お前の右手に。いいか、人が得る情報の八十パーセントは視覚一一つまり目からだ。それを潰しちまえば、相手に銃があろうと問題じゃない。親指と中指を使え、キスのフリをすりゃ簡単だ。ただその後、騒がれるのが厄介だがな」
「なぁ……なに寝てんだよ……起きろよ……俺まだお前に言いたい事があるんだよ……ガキの頃いぬに襲われた俺をお前がかばってくれて……そのせいでお前の小指が動かなくなって……俺、泣いてばっかだったから言いそびれたけど、すげぇ感謝してて……なぁ……起きてくれよ……今度は俺にお前を守らせてくれよ……」
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バトル・ロワイアル
信じる事の難しさ、切なさ、愛する事の大切さ、
他にもたくさんの事を教えてくれる、心に残る666ページです。
中学3年生の方には特に、読んで欲しいです。
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