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「ザンネン。惜しかったね」
「賭けは私の勝ちカモね?」
「私はそんなに怖いかなぁ」
「『負けるが勝ち』ってヤツさ」
「一一どうぞ、ごゆっくり・・・」
「……抜け駆けしようとしたね?」
「やるからには手加減しないよ……」
「君の笑顔は詐欺師でもダマせるよ」
「・・・ちょっと火遊びがすぎたね……」
「……なにか私に隠してるコト、ない?」
「恋人だからって、容赦はしないよ……?」
「私を敵にまわしても構わないのなら、どうぞ」
「あはは、ダマしてなんかないよ。黙ってただけ」
「女帝のようなオンナを連れて歩く、腹黒魔王……」
「大丈夫……手を出さなければ、大人しいから・・・」
「……こんな服を着て誘惑する、君が悪いんだよ・・・」
「一一それで? 私にはどんなメリットがあるのかな?」
「へーえ、心配してくれたんだ? いやぁ、嬉しいなぁー」
「君の技術は尊敬に値する・・・でも一一相手が悪かったね……」
「バタービールを買うと、もれなくミニ・リーマスがついてくる」
「もう『トモダチ』の関係はイヤなんだよね……だから・・・一一」
「まったく、誰なんだろうね。最初に『腹黒』なんて言葉を作ったのは」
「ストップ。この話は、また後日にしよう……招かれざる客のご登場だ」
「ここは『グリフィンドール』出身のみが入れる、メンバーズ・クラブさ」
「別に悪い事してないのに、アイツを見ると警戒しちまうのはなんでだろう」
「紹介しよう。『ホグワーツひとクセある系』同盟の一人、『腹黒のおリマ』だ」
「ふぅん……私と目を合わせられないという時点で、勝敗はもうついているんじゃないの?」
「私はウソをつく事も、ウソを見抜く事も、得意だ。悪あがきはやめて、真実を話してごらん」
「えー、わたくし『週間イタズラ』の記者、ムーニ−です。ひとことコメントを頂けますか?」
「いやぁん、ブキミ〜。このおにーちゃん珍しく、ハイ、ここ強調、『珍しく』やっさしぃ〜」
「大丈夫、きもだめしなんて怖くないんだよ。だって、私より怖いものなんて存在しないんだから」
「そばにいて欲しいんだ……。君にいなくなられてしまったら一一いったい誰が、僕の身代わりになる?」
「アイツを本気で怒らせると……クチだけが、笑う。一一ココにまたひとつ、新たな百物語が生まれた・・・」
「そんなに喜んでくれるなんて……チョコレートになりたかったよ。僕が来た時より、嬉しそうな反応だね……」
「占いの結果が出ました……をを……! みえます・・・なにか、爽やかな『這い寄る混沌』が近づいて来ます……」
「・・・。プロングズ。君、今度はなにをやったのかな? なぜパッドフットが二人もいるのかな? 怒らないから話してごらん?」
「ああ、その彼なら一一ソコでぷるぷる震えているよ。いや、たいしたコトないんだ。ちょっと事情があって、軽くお仕置きを・・・ね」
「惚れた弱味……ねぇ・・・。たとえば……水彩絵の具の白は、決して黒にはかなわない。濃い薄いはあるけど、せいぜい灰色にさせるだけだ。でも、完全に乾き切った黒のうえに塗れば、簡単に白くさせる事ができる……君を、私色に染めるコトも……ね……? おや……『お前は白というより、黒だろう』……そう言いたそうなカオだね……へーえ……いい度胸だ・・・」
「私は、高いよ?」
「君は私には勝てないんだよ」
「アイツの半分は腹黒さでできている」
「なんで話し方が『カタコト』なのさ」
「誰にも言っちゃダメだよ? ね、ナイショ」
「私は頭がよくない。難しい事は言わないでくれ」
「ほぉら、捕まえた。さて、と一一どうして欲しい?」
「君ほどの人なら……叩けばさぞ、ホコリが出るだろうね?」
「『盗んだ』なんて人聞きの悪い。『黙って借りた』だけだよ」
「私で遊んでみるかい? 私に遊ばれるのが、オチだと思うけどね」
「困ったときはゆすりあい。さぁて、長期戦を覚悟してもらおうか?」
「どうしたの? 『オオカミなんか怖くない』んだろ? ほら、おいでよ」
「こーら、イタズラっこ。私には言われたくないって? 言ったなー、コイツ」
「高い、たかーい。見てごらん、へたれだよー。ほら、『へたれ遊んでー』って」
「私にできる事があったら、言ってくれないか。『借り』は作らない主義なのでね」
「気をつけた方がいいぜ? コイツ優しそうに見えっけど、根はむっつりスケベな鬼畜だあらよ」
「どれだけやれば、私が怒るか……それを試そうとしているなら一一そろそろ、やめておいた方がいいよ……?」
「ここに私がいるのは、場違いな気がして仕方がないんだ。まるで、ヒツジの群れにまぎれこんだ、一匹オオカミの気分がするよ」
「妬いてるのかなー、もしかして。そっかー、君が機嫌悪かったのはそういうコトかー。いやぁ、カワイイトコあるじゃない、珍しく」
「おや、これはまた大きなエモノがかかってるねぇ。ほら見てごらん、黒くてヘタレたマヌケなカモが……何だ、シリウスじゃない。なにしてんの」
「郵便物ってさ、普通なまえを『○○さま』って書くじゃない。そこを『○○へたれ』にしたんだけど、届いたんだよ。去年はそれで大笑いしたなぁ。さて、今年は何をしようか」
「ほう、オレンジジュースに混ぜて飲んでいるのか。これは、これは、君はよほど、苦いクスリがお好みと見える。では次からは君のために、特別苦いクスリを処方してやろうか。……酸味のジュースと抗生剤を混ぜると苦くなるんだ、この馬鹿が」
「わざと君の罠にかかるのも悪くないものだね」
「どうせカンニングするなら、バレないようにやりたまえ」
「なんだ……君だったの……。僕のあとをコソコソ付け回して・・・一体、なんのつもりだい……?」
「わかったよ、じゃあもう一度だけ勝負してあげる。でもまた君が負けたら……それなりの覚悟をしてもらうよ?」
「ではここで一つ、クエスチョンだ。新月でありながら発情期よばわりされてしまったら、月が満ちた日の夜、私は一体なんと呼ばれてしまうのだろう?」
「……盗み聞きとは、あまり褒められた趣味ではないね。どこから聞いていたの? 返答によっては……イヤでも『黙っていたくなる』ようなコトを……させて頂くよ?」
「あと少し気付くのが遅ければ、目、喉、肺、皮膚、その他全てがやられていただろう。部屋には白い煙りが立ちこめ、君のミスのおかげで今日一日中研究室が使えなくなり、あまつさえ仕事も中断させられるハメになったわけだが……さて、さて、この責任および後始末……どうして頂けるのか?」
「これで貸し一つだね」
「人の忠告は聞いておくものだよ」
「君はいつもさ、ツメが甘いんだよ」
「しょうがないから、たまには負けてあげるよ」
「では、私は高みの見物をさせてもらおうかな」
「私を甘くみて誘惑するとコワい目にあうよ?」
「相変わらずいい勘してるね……でも、もう遅いよ」
「あはは、言うと思った」
「そんな、人聞きの悪い」
「そういうコトバ遊びが好きなのかい?」
「フン、ついに化けの皮がはがれたか?」
「変わってないね。そのナイスセンスな嫌味の悪さ」
「……その質問に、私が答える義務があるのかな?」
「あ、言ってなかったっけ? 罰ゲームはくすぐりの刑だよ」
「なんのことかね? さて、チェックメイトだ。降参したまえ」
「隠れてもムダだよ? 無駄な抵抗はやめて大人しく出ておいで」
「悪いけど、私が先約なのでね。君にはお引き取り願おうかな?」
「話が早いね、もちろんタダじゃない。さて、何をしてもらおうかな?」
「私を敵にまわせばどうなるか……なんなら、今ここで試してみるかい……?」
「意外だなぁ、そんなのが恐いの? 素直に『助けて』と言えば、今すぐにでも手を差し伸べてあげるのに」
▲ 腹黒のパティシエはいかがですか?
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