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「なに拗ねてるんだ……」
「……黙秘権を行使する」
「六法全書を投げるな! 殺す気か!?」
「子供というのは、矛盾のカタマリ・・・」
「……御剣に、微妙な弱味を握られてしまった・・・」
「……私が欲しいもの? 証人に、確実に名前を言わせる方法」
「ム……料理はやらないだけで、できないワケでは・・・ない」
「……確かに、この『さいころ錠』は役にたつな……成歩堂・・・」
「びっ……くりした……そんな所で、隠れるように寝るなよな・・・」
「御剣のヤツ……最近ますます、サドに磨きがかかってきたな・・・」
「一一狩魔検事は、ホントは弱い女の子なんじゃないかって、思うんス」
「……世の中には『知らない方がいい』という事もあるのだよ、弁護人」
「……だってレイジに言うと、そのイヤミったらしい顔で笑うじゃない」
「『自分が受けた好意は三倍にして返せ』と、この六法全書にも……いてっ」
「年齢では同じだが、仕事の経験では私の方が上だな。シロウト弁護士くん?」
「ちょっと、レイジ! 私を子供あつかいしないでって、いつも言ってるでしょ!」
「今日はずいぶんと、からんでくるじゃないか。ククッ……なにをそんなに怒っている?」
「……なぁ、御剣。こういう真剣な話を、トノサマンのBGMで語り合うのはやめないか」
「一家にひとり、デリバリーおばちゃん。電話一本であなたの食卓に、笑いとマシンガントークをお届け」
「またそういう、かわいげのない事を言う。子供の頃は、私にべったりだったのにな? あの頃は素直だったんだが、どこで捻くれたのか……やれやれ」
「一一ねぇ、怜侍……あはは、おもしろいカオ。なにそんなに驚いてるのさ。いや、名前で呼んだら、お前どんな反応するだろうって思ってね。うん、なんでもない。ソレだけ」
「……寝たフリをした覚えはない。目をとじていたら、君が勝手にしゃべり始めたのだろう。それを『狸寝入り』だとののしるのは、筋違いだ。さて、さて……先ほどの質問についての回答だが・・・一一」
「あ、やっぱり御剣検事だーっ。やっほー。いま帰り? 今日ねー、なるほどくんとはみちゃんと、おナベするんだよ。検事も一緒に来ない? ほら、材料もいっぱい買ったんだー。あ、そうだ、渡すものがあったんだ。はい、トノサマンのカード。検事が『出ない』って言ってたヤツ、ダブったからあげるね」
「主役は君だ」
「続きは署で聞くっス」
「フラッシュバックだね」
「ム……遅刻だぞ。弁護人」
「……イヤか? 龍一・・・」
「言ったろ。最後まで協力する」
「……誰が『ムッツリスケベ』だ」
「そんなにいいのか? 私のキスが」
「……なに勝手に思い込んでるのさ」
「『再検討』と『決定』は別物だよ」
「気にしないで。役にたてて嬉しいよ」
「コイツ……彼は、僕の親友……です」
「み……御剣・・・!? なに、を……」
「お前……トノサマンに興味あったのか?」
「頼む。お前じゃなきゃ、ダメなんだ一一御剣」
「信頼はビミョ−だが、ある情報筋によると……」
「ククッ……返して欲しいか? 交換条件だ、弁護人」
「無罪になりたければ、知っている全てを話して……」
「君にとって私は、クスリになり一一また、毒にもなる」
「クチだけではなく、こちらも達者になったらどうだ?」
「頼む一一自首してくれ。君を追いつめたくはないんだ……」
「一一成歩堂。なにか『やましい事』でも考えているだろう」
「……クッ・・・一一続きは法廷で、な……成歩堂、龍一・・・」
「ダメだよ。女の子が軽々しく『なんでもする』なんて言っちゃ」
「リラックスして。では明日のタメに、証人尋問の練習をしよう」
「いろいろ、ハナシ聞いてくれてありがとう。一一もう、いいから」
「……なんだ、さっきから『鞭、鞭』と。SMに興味でもあるのか」
「ふぅん……カワイイ事をするではないか。シロウト弁護士さん?」
「あー、あまり見ないで。タネも仕掛けもあるから。バレる、バレる」
「雑談なら付き合ってくれるのに、肝心なコトは話してくれないんだね……」
「問題ない。私には専属の、頼れる弁護士がついている。一一なぁ、成歩堂?」
「・・・知りたいか、成歩堂? 教えてやっても構わんが……『貸し』ひとつだ」
「御剣……僕を追い詰める時、そんな楽しそうな顔をするなよ……この、鬼畜め」
「成歩堂……君がいま、なにを考えているか……その真実を解きあかしてやろうか」
「ひっかかったな……。そう、いまのは誘導尋問だ。でも、コレでハッキリした・・・」
「ゴミ箱は情報の山だからね。一一でも、一歩間違えればストーカー呼ばわりされる所だ……」
「クッ……さぁて・・・どうする? 成歩堂・弁護士。法廷でのあの威勢のよさは、どこに消えた?」
「場所が法廷ならいざ知らず……私生活でこの私にクチで勝つのは、難しいぞ? シロウト弁護士さん」
「な……!? こっ、このっ……! お前、ホントにいい性格してるよな……悪趣味検事! 鬼畜検事!」
「フッ……『なんでもしますから、どうか協力して下さい。お願いします、怜侍さま』だろう? 龍ちゃん」
「ム……コレは『ヒメサマン』だ。コレは『アクダイカーン』。・・・コレは、さっきも言った。『トノサマン』だ。主人公ぐらい覚えろ」
「君の意見に、異議を申し立てる。一一いま、ウソをついたな? 私の目を見て、話してみたまえ。正直に言わないと、承知しないぞ一一」
「……確かに言ったな? 成歩堂。君のクチから、ハッキリと。二言はないな? コレ以降、異議の申し立ては却下する。構わないんだな?」
「あー、はいはい。参りましたー。まったく……なんで御剣は、こんなにカンがするどいんだろうね。それとも洞察力かな。完敗だー、ちくしょうめーっ!」
「無実だと言い張るのなら、コチラにも考えがある……君が有罪だという証拠をコレでもかと並べ立て、犯人だとしか言いようがないよう、追い詰めるまでだ・・・」
「一一成歩堂……言ったはずだな。私にウソをつくな、と。それでもまた、君は私にウソをついた……。エイプリルフールだから、なんて言い訳は通用しないぞ。さて、さて……どうしてくれようか・・・?」
「私の『無罪だ』という言葉を信じ、そのうえ、かくまってくれて……ありがとう。極力、君の迷惑にならないようにする……あ、いや……いるだけで迷惑だろうけど……。新しい服、気にいったよ。でも、こんなシックでセンスのいい服、私なんかに似合うかな。高かっただろう……? すまない……ありがとう。お礼に、私にできる事はないかな? 私にできる事なら、なんでもする。一一君が拾ってくれなければ、飢えて死んでいたかもしれない。感謝してる。だから、そんな遠慮なんてしないでくれ。君が望む事、いっぱい、いっぱい、してやりたい。私の居場所を作ってくれた、君の為に。家の中でできる事なら、なんだってする。なんでも、言って? 掃除でも洗濯でも。料理も、簡単なのなら一一・・・え……・・・一一分かった……。ソレが、君の望みなら……喜んで・・・一一」
「おい、その危険生物を放し飼いにするな」
「お熱いコーヒーは遠慮しとくよ。猫舌なんでね」
「ベッドでは『待った』も『異議あり』もナシだよ」
「誰を信じていいのか、分からなくなってきたよ……」
「コーヒー会社からCMの依頼が殺到する飲みっぷりだ」
「ヤッパリお前か! この、トラブル・メーカーが!!」
「ム・・・髪型が変だなど、君にだけは言われたくないぞ」
「君のそのまっすぐな所は嫌いではないが……実に、惜しい……」
「クッ……子猫ちゃんになら、どれだけ噛みつかれても構わねぇな……」
「最近のオカマバーには、メニューにフランス料理があるんだなぁ……」
「へー、君でも浴衣なんて着るんだね? 今度の法廷にそれ来てきなよ」
「……こういう時ぐらい『○歩堂』じゃなく『成歩堂』って呼んでくれよ」
「おあいにく、僕にウソは通じない。隠し事があると、ソレが見えるからね」
「君のその余裕綽々って顔を見ると、無性に泣かせてやりたくなるんだけど」
「間違いねぇっス、絶対っス、保証するっス、ソーメンの神にかけて誓うっス」
「まさか第一発見者が君だなんて……頼むから余計な事を証言しないでくれよ?」
「スーツばかり見なれているから、だぼだぼTシャツ一枚の姿は、とても新鮮だ」
「あー! アンタ入って来ちゃダメっス! 『黄色い線の内側へお下がり下さい』っス!」
「絶対に諦めないよ。僕の為にも、僕を信じてくれる人の為にも。絶体絶命の極限状況? 望む所だ」
「私が誰かに命を狙われている? なら、隠れる必要などないではないか。私をおとりにして、殺人犯をおびき出せばいい。検事と警官を敵に回した事を、タップリと後悔させてやろう……」
「君はそうやって何度も聞いてくるけどさ。僕が『違う』と言えば『ウソをついている』と否定して、僕が『そうだ』と言えば、『ああやっぱり』と頷くのかい? それは尋問じゃなくて、君の望む答えを『言わせて』るんだよ」
「なぜそうだと言い切れるか? それを証明するのは難しい。初めから存在しない証拠を突き付けろというのは、無茶な相談だ。どちらかというと、なぜ私が嘘をついていると判断したか、その根拠となる証拠を君に提示して頂きたい」
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