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「模範的な素晴らしい技術だ。惚れそうだよ」
「お前ってさ、頭いいクセにどっかバカだよな」
「そいつぁ俺の財産だ。触んないでくれっかな?」
「よく言うぜ。さっきお前を助けてやったのはダレだ?」
「私の知り合いには、お前のような『犯罪者』などいない」
「もし時間までに帰ってこれなかったら、気にせず、戻れ。いいな」
「先日は俺の手をするりと逃れられてしまったが……二度目は、ない」
「ヤツを解放してやるとは誓ったが、お前は『場所』の指定をしなかった」
「ああ、コレか。アイツの。黙って借りた。……すぐ返すよ、ンな目で見んな」
「いいか、よく聞け……今度『あの言葉』を言ったら、お前を海の藻屑にしてやる」
「お前にはまだ利用価値がある。だから今は、身の安全を保証しよう。安心したかね?」
「少々おつきあい願おうか。なに、心配無用。君の血をほんのわずか頂ければそれでいい」
「取り引きしよう……こちらの望む物をよこすか、それとも一一彼を奈落の底へ、落とすか」
「この程度だと思うな……これからその身体に思う存分、教えてやる……本物の『苦痛』を……な」
「誰になにを言われようと、世界中の全てを敵に回そうと、私はずっと味方だ。君を守ってみせる一一必ず」
「おっかない脱獄犯に武器向けんのは得策とは言えねぇぜ? それとも、ちょいと怖い目にあわせてやろっか?」
「血の一滴までが、月光によって支配されている……蝕まれている……俺はお前らの言う所の、『化け物』ってヤツさ」
「よし、こうしよう。俺の脱獄に協力してくれたら、お前の望みを一つ叶えてやる。モチロン、俺にできる範囲でのコトだけだが……。どうだ?」
「諦めろ……所詮、お前は俺には勝てん……どうせ降参するなら無駄な悪あがきなどせず、お早めに願いたいものだ。時間を無駄にはしたくないのでね」
「いいかね。『交渉』というのは、互いの立場が『対等』でなければ成立せん。あいにく君には、私と取り引きできるだけの権利がない。私の言う事には従って頂くが、君の提案に従う必要はない。では、これをなんと言うか? お答えしよう。『脅迫』だよ」
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