ダークファンタジー





「私と『悪い遊び』をしませんか?」

「一一生きろ。歩け。前へ進め。もう忘れるんだ」

「一一なら、俺を忘れられないようにさせてやる……」

「我と敵対するというなら、相応の覚悟を用いるがいい」

「……いいから、行け……コレ以上、死なせはしない・・・」

「そう悲しいカオをするな。皆も心配している。私の為に、笑ってはくれまいか?」

「バカな! 戦力不足だと理解していながら、なぜなおも前進する!? 意味がない!」

「……『俺のため』だっつーなら、俺より先に死ぬんじゃねぇよ。お前の墓参りなんてゴメンだぜ」

「いいか。決して、感情だけで動くな。冷製沈着に行動せよ。常に先を読め。想像を膨らませ、悪人になれ」

「一一待たせたな。道が悪くて、途中から馬車をおりて走って来たんだ。ギリギリ間に合ったようでよかったよ」

「小物は、ルールというものを軽視し、しばしばコレをやぶる。逆に、誇りとプライドのある者は、軽率な行動をとらず、慎重なり」

「見ろ……こんなにも赤く染まった、我の羽を・・・こんな我を《フェアリー》などと呼ぶな……その名は、我には美しすぎる……」

「死者を生き返らせるなど、自然の理に反する行為です。私は反対です。眠れる魂は、そのまま安らかにさせておくべきなのです!」

「一一その言葉、命令違反と取られますよ? 幸い、まわりには私とあなた以外、誰もいない。聞かなかったコトにします。いまなら反逆者にはしません。早く戻りなさい」

「どうしてどうしてどうして私はあなたを本当に私は愛してあなたをどうして私はどうして愛し愛し愛し私はどうしてあなたはどうしてどうしてどうしてどうしあああああああああああああああ」

「愚かな。いっそ哀れですらある。ヒトの姿でありながら、お前はヒトではない。お前はヒトの心を持たない。自分の無力を認めず、才能ある他者を恨み、日々をただ生きるだけの、肉の塊一一」

「立ち止まってもいい。時には、後ろを振り返るコトもあろう。だが、決して諦めるな。心配するな。お前には、前を見る強さがある。仲間がいる。一一私もいる。私の背を守れ。代わりに、お前の背は私が守ろう。許す、全力で暴れるがいい」

「人は、愚かな生き物。苦労して覚えた知識や言葉も、時がたつと、すぐに忘れてしまう。それでも、自分にとって『本当に大切』だと感じたものは、何年たっても、決して忘れない。一一あなたにとって大切なモノは、『人を蔑む言葉』なの?」

「私は王にとって、ただの『捨てごま』なんですよ。……なぜそんな、悲しいカオをするんです? 私は王に感謝しています。拾って頂いたおかげで、いままで生きていられました。今回の命令で、受けた御恩を王にお返しできるのです。私は幸せです」

「……今宵が最後の月になるやもしれませぬ。ですが、死ぬ前にこうして、あなたと楽しい想い出が作れた。私は、満足すべきでしょう。願わくば、明日もまた朝日と、あなたの笑顔が見れますように。一一時間です。生きていれば、また会うコトもあるでしょう」

「別に落ち込んじゃいないよ。アイツが裏切るのは、予想していたコトさ。ソレに、俺みたいないいオトコが暗いカオしてたら、まわりのお嬢さんたちが悲しむだろう? 彼女たちのタメにも、演技でもいいから、俺は笑顔でいなければならない。『いつも爽やかに愛をふりまく』のは、いいオトコの日課にして、義務なのさ」

「やれやれ……この街は、妙に治安が悪いな。せっかく美人のおねぇちゃんと、お知り合いになろうと思ってたのに。見渡す限り、むさ苦しいゴロツキばかりときてる。そっちの趣味がありゃ楽しいのかもしれんが、俺はあいにく、ヒゲムッキーはノーサンキュー。見てるだけでも汗くせぇ。一一ま、ンなトコで突っ立ってグチってもしょうがねぇ。とりあえずメシにすっか。ウマいモンたらふく食えば、ちっとは気分も晴れるってモンさ。じゃあ……そうだな。あそこでいいか? ふぅ、やっと座れるぜ……ずっと歩きっぱなしだったもんなぁ。お前も疲れたろ? 鍛えているとは言え、この荷物もって二時間はキツいよなぁ。あー、ハラ減った。食事のあとはさっさと宿きめて、シャワーといこうぜ。こんなムサくるしい街あるきまわったって、バラ色の出会いがあるとは思えないしな一一ふぅん……今日のオススメは『チーズとポテトのオーブン焼き』か……見た目は食欲をそそるが、はたして味の方は一一っと!? な、なんだ……ケンカか!? おいおい、よそでやってくれよ……ツイてねぇなぁ。一一お前さんのせいじゃないのか? ははっ、冗談だよ、ジョーダン。ンなカオして睨まれても、かわいいだけだぞ。じゃ、入るか。おっ、すきっ腹にしみる、ウマそうなニオイ。よっ、オヤジ。ジャマするぜ。一一おい、見ろよ……中もゴロツキだらけだな……なんだ、この街……ムッキー・フェスティバルか? さぁってと……んー、メニューはコレか? なぁ、今日一日泊まって、明日の昼にはもう出発しようぜ。俺はこんなムッキー街に用はねぇし、ましてや『お尻合い』になる気もねぇ。……あー、自分で言ってて気持ち悪ぃぜ……。コレだけ筋肉カーニバルだと、お前さんがやけに美人に思えてくるから不思議だよなぁ。オトコだって分かっててもムラムラするぜ。宿で一戦交えるか。俺、テクにはかなりの自信あるぜ? 今夜は十回、いい思いさせてやろうか。一一ははっ、だぁかぁらぁ、ジョーダンだっての。ホントかわいいな、お前。あ、ジョーダンなのは『宿で一戦』の方で、『一晩で十回』はマジだからな。一一お前、決めたか? なににする? おーい、オヤジー! こっち、注文だ! ただ、相手が『オンナなら』だからな……オトコ相手だと、多少の数値修正が一一おう。俺はコレとコレと、コレ。へへっ、ウマくなかったら恨むからな? んで、コイツのが、コレな。あと、コレとコレも。そーれーとー、んー、コレとコレとコレ……いいのいいの。気にすんな、俺のオゴリだ。あとコレもつけるか。以上だ。早くしてくれよ、ハラ減り過ぎて目が回る。……っかー、このお茶、冷えててうめぇ! おい、兄ちゃん! お一一ぶえっくしょい! あー、ちきしょうめ! あー、お茶くれ、お茶! おう、サンキュー! さて……あー、なに話してたっけか? おっ、見ろ! 茶柱、茶柱! へへっ、こりゃなにかいいコトあるかもな。ムッキー地獄の中で、輝く女神出現とか一一おっ、悲鳴!? アレはまさしく・・・一一ボロぞうきんを裂くような、野太い野郎の声……ああ、そうだよな。世の中、そんなモンだよな。泣いてねぇや、べらぼうめい。おっ、来た来た! ウマそうなスープ! おー、そっちのもウマそうだな。ヒトクチくれ!」


(リクエストありがとうございます)


Top ▲


HOME / もどる