夕闇通り探検隊





「んー・・・口移しなら飲む」

「ニシ君、背中ながしてあげるよ」

「……俺と同じ高校、行かない?」

「なぁ……そろそろさ、名前で呼んでよ」

「え……に、ニシ君……ホンキ、なの?」

「シイナにもサンジョウにも、渡さない」

「俺……ナオが相手だと、独占欲強くなる」

「……正直な気持ちを教えてくれ。ナオキ」

「に……ニシ君……にし……く、んっ・・・!」

「なんかナオってさ、泣かせてみたくなるんだよね」

「へへっ、悪いなぁ、サンジョウ。ナオは貰ってくぜ」

「修学旅行ふたりでひと部屋だってさ。俺と組もうぜ」

「……ナオにだけなら教えてやるよ。耳かして・・・」

「別に、ベッドはひとつでもいいよ。……上に乗るから」

「あ、オーケイオーケイ。むしろ食いかけだから欲しい」

「一一俺もさ、ガマンしようとは思ってたんだけど……」

「むーらせっ。なにしてんの? ヒマならデートしようぜ」

「僕、なんでずっと、ニシ君のコト考えてるんだろう……」

「この程度で、そんなに照れるんだ……ナオはかわいいな」

「ニシタカユキって、絶対ムラセナオキを狙ってますよねー」

「に……ニシ君……? なにか言ってよ……コワイよ・・・」

「スナオになれよ。ナオだって『こういうの』興味あるだろ?」

「……他のヤツには興味ない。ナオキは? 俺のコト、嫌い?」

「すっげータイクツ。……な、ふたりでコッソリ抜け出さない?」

「あー、俺いまナオを独占してるんだな。すっげー、ユウエツカン」

「ちょっ……! に、ニシ君! ホントにダメ、ダメだって……!」

「オキナワ、オキナワ! ムラセ君たち、ふたりきりで旅行なんてズルーイ!」

「一一あ、もしもし、ニシ君? 僕、ムラセだけど。あのさ、いまから会わない?」

「なんでそう、嬉しいコト言ってくれるかな……あーもう……なんかヨクジョウしてきた……」

「さすが、俺らが組むと早いよな。さて……課題も終わって、ヒマだな・・・キスでもする?」

「なーおっ。へへっ、ビックリした? 一緒に帰ろうぜ。今日も犬の散歩? 俺も行っていい?」

「ま、まぁ、そー言う世界をヒテイはしねぇけど……え、じゃ、なに……お前らもう・・・ヤったの?」

「アンタら、ふたりきりだからって……いや、いい。なにも言うまい。行け、ナオ。オトコになって来い」

「僕……ニシ君って、ちょっとだけニガテでさ……なんか、笑顔なんだけど、ソレが逆にコワイって言うか……」

「なに……アンタとニシタカユキって、そーいうカンケイ? ふぅん……行こ、シイナ。うちらはオジャマみたいだよ」

「クルミ、昨日ナオ君たち見たのよ。滝のそばで、プロレスごっこしてたのね。いいな、いいな。クルミもプロレスしたいのね」

「一一おーっと、悪いなぁ。ナオは俺と、いまからデートなんだよ。長い間クドいて、クドいて、やっとオトしたんだから。ジャマすんなよな」

「えっと……おじゃまします。へー・・・コレがニシ君の部屋かぁ……すごい、大人っぽいね。なんかゲ−ノージンとか住んでそう。カッコイイな」

「かさこそかさこそ。イヒヒヒヒ。クルミ、知ってるのね。ナオ君、昨日はニシ君と、メロスのお散歩行ったのよ。ふたりは『らぶらぶ』なのね。イヒヒヒヒ」

「あのさ……そんなに家にいるのがイヤなら、夏休みの間だけでも、僕の家に泊まりに来ない? 塾があるから、僕もずっと家に居られるわけじゃないけど。ニシ君なら、きっと母も『いい』って言ってくれると思うんだ」

「俺さ……実はいままで誕生日って、祝ってもらったコトないんだ……父親はあんなんだから、この日はいつもひとりで、さ……。だから・・・へへ……なんか……すっげ、ウレシイ……ありがとな、ナオ・・・こんな最高の誕生日……俺、初めてだよ……ナオ、好き。大好き」



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